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「国連ビジネスと人権作業部会による訪日調査最終報告書の発表を受けての緊急記者会見」に登壇

20240605緊急記者会見

5月30日(木)に開催されました、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ様主催による「国連ビジネスと人権作業部会による訪日調査最終報告書の発表を受けての緊急記者会見」に、虹色ダイバーシティ代表の村木が登壇しました。

アーカイブ映像も公開されておりますので、是非ご視聴ください。

■【緊急記者会見】第一部「国連ビジネスと人権作業部会による訪日調査最終報告書の発表を受けて」(Human Rights Now)


 

村木の読み原稿も下記に公開します。是非ご一読ください。

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認定NPO法人虹色ダイバーシティ理事長の村木真紀です。今日、私は、LGBTQIA+コミュニティの一員としてコメントしたい。
まず、作業部会がこの課題に強い関心を持って調査してくれたこと、私たちの運営するセンターを訪問する等、支援現場の声を聞いた上で、報告書を書いてくれたことに感謝したい。
日本政府からのコメントが特段なかったことから、LGBTQIA+に関する報告書の内容を全面的に受け入れたと理解している。遅滞なく、施策を前に進めて欲しい。

LGBTQIA+の課題は、この10年ほど、国による支援がほとんどないまま、企業や先進自治体が、非営利団体と協働して、施策を進めてきた。
しかし、指導原則の第一の柱は国家の義務である。国の取り組み推進にあたっては、企業や自治体、非営利団体による今までの蓄積を無視せず、後押しする方向で動いて欲しい。

1) LGBT理解増進法に関連して
報告書にあるように、いわゆる「LGBT理解増進法」は、企業の対応を義務としておらず、差別の禁止も明文化されていない。これは、別に指摘されている大手企業と中小企業の格差につながっている。
先進的な企業や自治体の取り組みが評価されているが、当事者の雇用における格差、メンタルヘルスの改善には不十分である。
採用や職場におけるトランスジェンダー差別は、支援現場で頻繁に見聞きする事実である。トランスジェンダーの戸籍上の性別変更に関して、調査の後、2023年10月に最高裁で不妊要件が違憲であるとされた。しかし、そのほかの要件も厳しく、就業への足枷になっている。性別変更の要件緩和について、早急な対応を望む。
また、我々の行っている調査では、職場において多くのLGBTQIA+はカミングアウトしていない。それは不利に働く恐れがあるからだ。企業、及び、それを指導する立場の行政、特に国や都道府県は、理解増進だけでなく、より積極的な職場環境の改善と、ハラスメントを受けた当事者の救済に向けて動いてほしい。

当事者支援に関しては、企業からの支援が一定あるものの、企業の業績によっては真っ先に削られてしまう不安定な予算である。支援現場は、慢性的にリソースが不足しており、相談や支援のニーズを十分に受け止められていない。安心できる居場所もない地域がほとんどだ。
私たちは、「LGBT理解増進法」にしっかり予算をつけて運用すること、その根拠となる国の基礎データの整備と、支援団体への国や企業の支援の拡充を求める。

2) 同性婚の法制化
報告書では、企業だけでなく、人権問題に関する裁判官の意識の低さ、また、裁判に長い時間がかかることによる課題を指摘している。
私の友人たちが、「結婚の自由をすべての人に」訴訟を起こしているが、2019年に始まって、5年以上になる。亡くなってしまった原告もいる。5つの訴訟では地裁で違憲判決が出たが、我々の地元、大阪地裁では合憲になった。この判断に、どれだけの人が絶望したか。この訴訟は、単に結婚の権利だけでなく、当事者の尊厳がかかっている。判決文で尊厳を傷つけられるのは、もう沢山だ。

一方で、裁判官の中には、この3月に札幌高裁で示されたような、当事者の声に寄り添う判断をしている方もいる。こうした判断に勇気づけられて、今、私たちは様々な理不尽に、泣き寝入りするのを、やめ始めたところだ。今後、LGBTQIA+に関する多くの法的争いが生じると予想している。司法関係者に対し、継続的にLGBTQIA+の人権課題を学ぶ場を作るよう要望する。
また、個別性の高いLGBTQIA+の課題に対し、司法だけで対応するのは限界がある。報告書で提言されている政府から独立した人権機関の設立について、強く要望する。

また、婚姻平等は、企業からの要請でもある。私たちはBusiness for Marriage Equalityというキャンペーンを実施しているが、すでに500社以上が日本での婚姻平等の実現に賛同している。福利厚生に同性パートナーを含めるよう制度を変更した企業もあるが、実際に申請する人はほとんどいない。結婚できない状況下で、差別の恐れや説明の困難さがハードルになっている。申請できないと、パートナーが子どもを産んでも、育休が取れず、就業の継続が困難になることもある。これではせっかくの福利厚生の意味がない。
婚姻平等が実現されないことで、企業にとって様々な不都合が生じている。海外で同性パートナーと結婚した場合、日本ではそのパートナーは配偶者として入国できない。将来を嘱望された女性リーダーが、こどもを持ちたいと思った時に、同性婚のできる海外に移住してしまった、というのも、よく聞く話だ。国際的な人材獲得競争で不利になるだけではない。日本からの若者の人材流出も引き起こしている。
様々な世論調査で国民の約7割が賛同し、ビジネス界も後押しする婚姻平等が、なぜ今すぐ実現されないのか。政府には誠実な回答を求めたい。
女性に関する項目で、「意思決定層におけるジェンダー多様性の推進」が指摘されているが、これは、私たちの権利がなかなか実現しない要因でもある。国や企業に対し、意思決定層に女性や若者、マイノリティ・グループの参加をより強く後押しする施策を求める。

3) ヘイトへの規制
インターネット上でのLGBTQIA+に関するヘイトは報告書でも指摘されているが、最近はそれが現実社会にも影響を与えているように感じる。私は、同性婚や性別変更に関する議論が長引くほど、当事者が、より多くのヘイトを見聞きすることになると懸念している。女性や若者、マイノリティ・グループへのヘイトに対する、有効な対応を強く求める。これは、命と人生に関わる問題で、一刻の猶予もないことを強調したい。

以上

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私たちはこれからも現場の声とデータを使って、アドボカシー活動を行っていきます。是非、応援してください。

 

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