LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニング)等の性的マイノリティとされる人々は、人口の3.5%〜8.8%(2023年、家族と性と多様性に関する全国アンケート、釜野さおり等)だといわれています。しかし、周囲の人に自分がそうであると表明すること(カミングアウト)ができる人は少なく、「見えにくい」「声を拾いにくい」という特性があります。
虹色ダイバーシティは学術研究者や企業等と連携しながら、LGBTQ+に関する様々な調査研究を継続して行い、そのデータを広く公開しています。また、これらのデータを活用して、これまで見えにくかったLGBTQ+を取り巻く状況・実態を可視化し、その声を広く社会に届ける活動(アドボカシー)をしています。
アンケート調査
事例1: LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査「niji VOICE」
学術研究者と共同で、オンラインの任意のアンケート調査「LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査 niji VOICE」を2014年から実施し、累計2万名以上の声を集めています。これは国際的にも非常に貴重なデータとして評価されており、多くの企業や行政のLGBTQ+施策推進の裏付けとなる資料として使われています。
また、多くの人から託された声を、様々な分野の研究に活用できるようにしたいという思いから、収集したデータを東京大学社会科学研究所のデータアーカイブに寄託しており、学術目的の2次使用を可能にしています。

事例2: 全国パートナーシップ制度共同調査(渋谷区)
2015年に渋谷区・世田谷区で開始したパートナーシップ登録制度に関して、虹色ダイバーシティは独自に登録件数の調査を行ってきました。しかし、制度を開始する自治体が増えてきたため、2020年からは渋谷区と協定を結び、共同調査として実施することにしました。2025年6月に最後の調査を実施し、パートナーシップ制度を持つ自治体が全国で532、人口カバー率は92%を超えたことを発表しました。本調査は、日本で唯一のパートナーシップ制度の登録者数の経年変化を示すデータとして、同性婚を求める裁判で証拠として採用され、多くのメディアにも取り上げられています。

これまでの実績
LGBTと職場環境に関するアンケート調査「niji VOICE」
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 2014
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 2015
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 2016
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 niji VOICE 2018
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 niji VOICE 2019
- LGBTと職場環境に関するアンケート調査 niji VOICE 2020
- 職場のLGBT白書(2021)
- LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査2022
- LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査2023
- LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査2024
- データ寄託先:SSJデータアーカイブ
学会での発表・登壇
- 2017年 スポーツとジェンダー学会、日本産業精神保健学会
- 2018年 日本心理学会
- 2019年 日本産業看護学会
- 2020年 異文化間教育学会
- 2022年 日本NPO学会
- 2024年 日本学校メンタルヘルス学会、日本エイズ学会
- 2025年 日本ソーシャルワーク学会
NIJI BRIDGE
LGBTQ+に関するデータを図表(インフォグラフィック)でわかりやすく提供するとともに、パブリックコメントや署名活動など、個人でも参加できる社会課題へのアクションを紹介するウェブサイト「NIJI BRIDGE」を運営。データから社会を変えるアクションに繋げるオンライン・プラットフォームです。

主要なデータをわかりやすく

個人が参加できるアクションを紹介

確かなデータを広く公開
政策提言
同性婚賛同企業を集める”Business for Marriage Equality”
Business for Marriage Equalityは、2020年に開始した、婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業を可視化するためのキャンペーンです。公益社団法人Marriage for All Japan・NPO法人LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)と共同で実施しており、2025年時点で620社を超える企業が賛同を表明しています。この賛同企業数は社会の変化の証拠として「結婚の自由をすべての人に」裁判の高裁判決(札幌、東京、福岡、名古屋、大阪)で採用されました。

国際的な政策提言
虹色ダイバーシティは世界に向けて、日本のジェンダー平等やLGBTQ+の権利の状況を報告し、改善を促しています。政府の「ビジネスと人権に関する国別行動計画」(National Action Plan)に市民社会から参画していくことを目指すネットワーク「ビジネスと人権市民社会プラットフォーム」に参画。また、2023年のG7(主要国首脳会議)広島においては、公式エンゲージメントグループの一つW7(女性)に理事がアドバイザーとして参加。2023年に国連ビジネスと人権に関する作業部会(OHCHR Working Group on Business and Human Rights)が日本の審査のために来日した際には、プライドセンター大阪にて委員のヒアリングに対応。LGBTQ+に関する政府間会議 EqualRightsCoalition(ERC)では、2018年カナダ、2022年アルゼンチンで開催された世界大会に招待され、日本の状況を伝えました。

メディアへの提言
LGBTQ+に関する報道をより良いものにするため、メディア向けの研修を実施したり、LGBTQ+に関する用語集を作成し、情報提供に努めています。また民放ラジオで審議委員を務める(MBSラジオ 2021年〜2024年)等、メディアへの提言や番組に関するアドバイスも行っています。
国際イベントにおける人権デューデリジェンス
国際的な大規模イベントにおいて人権侵害が起きることを防止するため、「大阪・関西万博2025」 では、人権に関するワーキンググループが万博史上初めて設置され、虹色ダイバーシティの理事が委員として参画しました。
大規模スポーツ大会への提言
大規模な市民スポーツ大会にLGBTQ+も参加しやすくなるよう、2019年に理事・支援者が「大阪マラソン」にチャリティランナーとして参加し、その実体験に基づき、大阪マラソン組織委員会に提言を行い、2023年の大会では男女共用の更衣室の設置等が実現しました。

自治体との取り組み
事例1: LGBTQ+に関する自治体のモデル事業をつくる(大阪市淀川区)
2013年に全国で初めて「淀川区LGBT支援宣言」をした大阪市淀川区のLGBT支援事業を、NPO法人QWRC等と共同で受託(2014年度から2020年度まで)。職員の方と相談しながら、居場所づくり事業や個別相談、啓発コンテンツの作成等の事業を行いました。淀川区の取り組みはメディアで紹介され、淀川区に100を超える自治体職員や議員の視察があり、自治体のLGBTQ施策のモデルを作った事業とも言われています。
事例2: 自治体の人権施策にLGBTQ+の視点から提言(茨城県、大阪市、京都市、市川市)
自治体の人権施策、LGBTQ+施策を検討する場において、理事やスタッフが審議委員、有識者として参画しています。
- 茨城県 性的マイノリティ支援勉強会(2019) 都道府県初のパートナーシップ制度の実現に繋がりました
- 大阪市 大阪市人権施策推進審議会(2015-2018)大阪市のパートナーシップ制度の実現に繋がりました
- 京都市 市民ぐるみ「多様な性の在り方が尊重される京都」推進ネットワーク
- 市川市 市川市多様性社会推進協議会
事例3: 社会教育のための資材を制作(大阪府・京都市)
自治体のLGBTQ+に関する社会教育資材の作成・監修に協力しています。