誰も取り残さない「いのち輝く未来社会」のために 〜大阪・関西万博とLGBTQ+インクルージョンのこれから〜

2025年に開催された大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げました。
この言葉が本当の意味で実現されるためには、すべての人の人権が尊重され、誰もが安心して参加できる場であることが欠かせません。

虹色ダイバーシティは、性的指向や性自認(SOGI)にかかわらず、誰もが尊重される万博の実現を目指し、早い段階から万博との関わりを模索してきました。2021年には、企業や団体が独自に参画できる TEAM EXPO 2025「共創チャレンジ」 に登録。2022年には、博覧会協会が策定した「持続可能性に配慮した調達コード」において、「雇用及び職業における差別の禁止」の中に、性的指向や性自認に基づく差別の禁止が明記されました。

さらに、万博で初めて設置された人権ワーキンググループの委員として、虹色ダイバーシティ理事の有田伸也が選出され、LGBTQ+の視点を人権デュー・ディリジェンスに組み込むよう働きかけてきました。

本記事では、有田と長野の対話を通じて、大阪・関西万博での取り組みを振り返りながら、「誰も取り残さない未来社会」に向けて、万博が残したもの、そしてこれからの課題について考えます。

語り手
有田伸也(認定NPO法人虹色ダイバーシティ 理事/大阪・関西万博 人権ワーキンググループ委員)
長野友彦(プライドセンター大阪 マネージャー)

“いのち輝く未来社会”は、人権尊重から
「いのちが輝くためには、まず人権が守られていなければ」

長野:今回のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」は、すべての人の人権が尊重されてこそ実現します。地元で開催される万博でLGBTQ+に関する人権侵害が起きないよう、協会に研修や通報窓口の設置を働きかけてきました。

有田:LGBTQ+の視点を人権ワーキングで議論に反映できたのは大きな前進です。次回の開催地・サウジアラビアでは、性の多様性への理解が進んでいません。今回日本で積み上げた経験が、次の万博の「レガシー」として受け継がれてほしいですね。

パビリオンで感じた“希望”と“対話の力”
「社会課題を語ることも、未来をつくる一部なんです」

有田:オランダパビリオンで、婚姻の平等をテーマにしたイベントを開催しました。2001年に世界で初めて同性婚ができるようになったオランダでも、「その先の社会をどうつくるか」という対話が続いているそうです。同性婚が実現した後の日本社会を考える上で多くのヒントがありました。

長野:ウーマンズパビリオンでは大阪大学と連携し、「LGBTQ+を含む誰もが暮らしやすい未来社会とは?」をテーマにトークセッションを実施しました。「まず知ること、そして身近な人に伝えることの大切さを感じた」という声が多く寄せられ、万博が“テクノロジーの祭典”にとどまらず、社会を変える場にもなっていることを実感しました。

万博における成果と課題

有田:性の多様性を扱う小さなNPOが、国際イベントのステークホルダーとして正式に参画できたことを誇りに思います。これをきっかけに、今後の国際イベントでもよりインクルーシブな仕組みが広がることを期待しています。

長野:自分としての成果は三つあります。一つ目は「プライドクルーズ大阪」にミャクミャクを招いたこと。万博でもLGBTQ+が無視されないという発信になったと思います。二つ目は大学との協働。大阪大学や関西大学と会場でイベントを行い、若い世代へメッセージを届けられました。三つ目は、万博をきっかけにプライドセンター大阪に国内外から多くの方が訪れてくださったことです。一方で、LGBTQ+が厳しい環境に置かれる国・地域も出展していました。「誰もが安心して参加できる万博」を目指して、今回の成果をつなげていきたいです。

万博の“その先”へ ― 未来に残すレガシー

長野:1970年の大阪万博が今も語り継がれるのは、未来への希望を示したから。今回の万博も、次世代にどんな光を残せるのか――それを見届けるのはこれからです。むしろ、万博が終わった今こそが「本当のはじまり」だと思います。

有田:私は「公平性の担保」を胸に携わってきました。華やかな舞台の陰で寂しい思いをする人を少しでも減らしたい。これからも、誰も取り残さない社会づくりに取り組んでいきます。

「万博はゴールではなく、未来を共につくるためのスタートラインです」

有田:皆様のご支援のおかげで、LGBTQ+の視点を国際イベントに組み込むことができました。これからも、さまざまな場で活動を続けていきます。応援をよろしくお願いいたします。

長野:温かいご支援を本当にありがとうございました。私たちは、万博で得た経験を未来へと引き継ぎ、国際イベントや社会のさまざまな場面でLGBTQ+の声を届け続けます。次の挑戦に向けて、共に歩んでいきましょう!

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