【イベントレポート】「LGBTQに関するトークセッション〜LGBTQを含む誰もが暮らしやすい未来社会とは?〜」――大阪・関西万博ウーマンズパビリオン「WA」スペース

2025年9月18日、大阪・関西万博のウーマンズパビリオン「WA」スペースで、「LGBTQに関するトークセッション 〜LGBTQを含む誰もが暮らしやすい未来社会とは?〜」と題したイベントが開催されました。本イベントは、大阪大学ダイバーシティ&インクルージョンセンターと認定NPO法人虹色ダイバーシティの共催により実現しました。

冒頭では、虹色ダイバーシティの長野から本イベントの趣旨について説明がありました。その中で、今回の大阪・関西万博では、博覧会史上初となる「人権方針」が策定され、すべての関係者の人権が尊重されること、また、多様な考えを発信する展示や催しを通じて、その理念を万博後も社会に広げていく重要性が語られました。

続いて、大阪大学 総長・熊ノ郷淳氏より寄せられたビデオメッセージが上映されました。大阪大学が、多様性を尊重し、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指していること、そしてSOGI(性的指向や性自認)への理解を深めることが、その鍵であるという考えが共有されました。

その後、虹色ダイバーシティ理事長の村木による講演が行われました。LGBTQやSOGIESCに関する基礎的な解説に加え、LGBTQが抱えるメンタルヘルスや生涯にわたる困難、日本および世界における同性婚の現状について紹介されました。さらに、アライ(支援者)の重要性や、プライドセンター大阪の活動にも触れながら、参加者に向けて「あなたには何ができるか」という問いかけがなされました。

続いて、公益社団法人Marriage For All Japanの寺原真希子氏による講演が行われました。同性カップルが婚姻できないことによる具体的な不利益、世論や国会の動き、そして「結婚の自由をすべての人に」訴訟の判決内容と政府見解が紹介されました。また、今後の訴訟スケジュールや、原告が法廷で語った思いも共有され、同性婚の実現に向けた課題と希望が語られました。

さらに、大阪大学 全学教育推進機構 教授の金森サヤ子氏による講演が行われました。同機構が運営する「OU-SDGsプログラム」では、「誰もが暮らしやすい未来社会」をテーマに、LGBTQに関するワークショップが実施され、学生たちがLGBTQの課題を学び、自分たちにできることを考えました。その中で、「マイノリティへの配慮」ではなく、「誰もが暮らしやすい社会設計」こそが未来を豊かにするという視点が共有されたことが紹介されました。

最後に、登壇者3名によるトークセッションが行われました。

大学教育の現場で学生たちが多様性をどのように受け止め、行動しているか、婚姻平等が実現したときに社会がどのように変化するか、そして、若い世代にどのような役割や希望を託していきたいかについて意見が交わされました。その後の質疑応答を経て、イベントは盛況のうちに終了しました。

日本におけるLGBTQなど性的マイノリティへの理解が進む中で、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を実社会でどう描くか、そしてLGBTQを含む誰もが暮らしやすい未来社会をいかに創っていくかを、参加者の皆さまとともに考える貴重な機会となりました。