LGBTQの従業員と新型コロナウイルス

アメリカOut&Equalの発表した資料を、虹色ダイバーシティで日本語訳して公開しました。LGBTQは新型コロナウイルスによる影響を受けやすい層だと言われており、国際連合人権高等弁務官事務所も声明を出しています。日本の状況とは異なる箇所もありますが、対応を考えるヒントとしてご活用ください。
https://outandequal.org/covid-19-japanese/(リンク先にPDFがあります)

あなたの会社が知っておくべきこと:LGBTQの従業員とCOVID-19パンデミック

一般の人々と比較すると、LGBTQの人は、健康、収入、雇用、または住居・医療などの重要なリソースへのアクセスにおける明確な格差を経験しており、そのすべてがこのコミュニティをCOVID-19に対して特に脆弱にしている。

雇用者は、特に危機的状況において、LGBTQの従業員とその家族の生活とウェルビーイングを形成する上で極めて重要な役割を果たす。

COVID-19のパンデミックによって日々の企業運営が再構築され続けているため、企業は、以下の考慮事項と行動項目を実行することにより、LGBTQコミュニティをサポートする包摂的な対応の努力と年間の計画を維持していることを保証するべきである。

 

1.    COVID-19は、HIVまたはAIDSとともに生きる従業員に新たな課題を提示する

<概要>

l  CDCによると、基礎疾患を持っているか、免疫不全の人は、COVID-19に感染するリスクが高く、深刻な症状を示す可能性が高くなる。そのため、HIVまたはAIDSとともに生きる人々はコロナウイルス感染症に対してより脆弱である。

l  COVID-19の日常生活の混乱は、HIVおよびAIDSを抱える人々の治療計画に影響を与える可能性がある。

<考慮すべきこと>

l  全体として、LGBTQの人々はHIVの発生率が高く、さらにトランスジェンダーの人々はHIVと共に生きる確率は一般の人々の5倍である。

l  HIVまたはAIDSと共に生きる従業員の多くは通勤や、他の人と会うこと、クライアントとの対話、または家外の公共の場での時間を過ごすことを要求する職務の遂行について不安を感じるかもしれない。

l  HIVまたはAIDSとともに生きている従業員は、COVID-19から身を守るために、時期尚早に自分のステータスを開示するプレッシャーを感じることがあるかもしれない。

<あなたができること>

l  合理的な配慮をする:雇用者は、ウイルスに晒される人を減らすために、遠隔で働く個々人の要求に対応する柔軟性と合理性を示す必要がある。

l  サポートと尊重の文化を築く:企業は、COVID-19の結果として特定の配慮を必要とする従業員はジャッジまたは懲戒処分されないことをスタッフに伝えなければならない。

 

2.    LGBTQコミュニティは、COVID-19の影響に対して特に脆弱である

<概要>

l  LGBTQコミュニティは固有の健康問題(ガン、HIV、喘息など)に直面しているため、COVID-19の影響に対して「特に脆弱」である可能性がある。

l  LGBTQの個人、特にトランスジェンダーやジェンダーに不適合な人は、定期的に医療制度における差別を経験しているため、必要なときに医療を受けることを避ける人も多く、単純に治療をする余裕がない人もいる。

<考慮すべきこと>

l  LGBTQの個人は、すでに健康の格差を経験しているため、COVID-19はLGBTQの従業員に不利な影響を与える可能性があり、その結果、自身やパートナー、または愛する人の世話をするために仕事を休む必要性が高まる可能性がある。

<あなたができること>

l  ドメスティック・パートナーへの福利厚生を提供する:2015年の最高裁判所の判決は、国レベルで結婚の平等を認め、その結果、多くの企業は同性パートナーへの福利厚生を廃止した。しかし、LGBTQの人たちは多様な家族を形成しており、ドメスティック・パートナーへの福利厚生を提供することは、異性間でも同性間でも依然として極めて重要である。

 

3.    LGBTQの個人は、有給休暇へのアクセスの欠如によって特に影響を受ける

<概要>

l  米国には有給の家族休暇または病気休暇に関する国家基準がない。

l  CDCは、気分が悪い場合や、個人の検査結果が陽性の場合は家にいるよう勧めているが、勤務先で十分な有給の病気休暇を取得していない従業員に多大な経済的困難をもたらす可能性がある。

<考慮すべきこと>

l  この世界的流行に直面して、不十分な有給の家族休暇と病気休暇のポリシーはまた、貧困の中に生き、低賃金または時給の仕事で働く可能性が高いLGBTQの従業員に不釣り合いに影響する。

l  LGBTQの個人は、食糧不足を経験し、補足栄養補助プログラム(SNAP)に参加する可能性が高くなる。

l  LGBTQの人々、特に既に限界の人々にとって、失業したり、無給の休暇を取らなければならないことは、財政的に壊滅的であり、借金、極度の貧困、さらにはホームレスにつながる可能性がある。

<あなたができること>

l  有給の家族休暇と病気休暇のポリシーを修正する:多くの企業は、有給の家族および病気休暇のポリシーを修正することで、従業員は、気分が悪い場合や、家族の世話をする必要がある場合、または強制検疫所のある場所で働く場合に、家にいることができる。

l  医師の診断書を要求しない:CDCは、欠勤を正当化するための医師の診断書を提出する要件を設けずに、呼吸器疾患のために病欠を利用する必要がある従業員に対して寛大さを示すよう企業に助言している。

 

4.    COVID-19とトランスジェンダー等の従業員への影響

<概要>

l  COVID-19の入院患者の殺到に対処するために、「非必須」と見なされた手術は、多くの場合、無期限に延期されるかキャンセルされた。そのような手術には、トランスジェンダー等の個人のための性別適合手術がある。

<考慮すべきこと>

l  多くのトランスジェンダー等の個人にとって、性別適合手術は、不安、うつ病、自殺行動の減少につながる可能性がある救命手術である。手術の遅延または中止は、既存の性別違和を深め、不安、うつ病、さらには自殺念慮の増加につながる可能性がある。

<あなたができること>

l  ERGをサポートシステムとして活用する:LGBTQのERGは、COVID-19の結果として複合的な障害に直面しているLGBTQの人の重要な基盤として機能する。

l  合理的な配慮とサポートを提供する:企業は、トランスジェンダー等の従業員が手術のキャンセルと遅延に対処するために、追加の援助とサポートを提供できるように準備する必要がある。

 

5.    LGBTQコミュニティは、COVID-19によりメンタルヘルスのリスクに直面している

<概要>

l  社会距離戦略を求める全国的な呼びかけは重要な命を救う手段であるが、孤立感、孤独感、不安感、抑うつ感を強め、メンタルヘルスにも重大な悪影響を与える可能性がある。LGBTQコミュニティは特に脆弱である。

<考慮すべきこと>

l  LGBTQの人々は、一般の人々よりも不安やうつ病のようなメンタルヘルスの問題を経験する可能性がかなり高い。雇用者は、LGBTQコミュニティが直面している特有のメンタルヘルスの課題を理解し、従業員が健康で安全で会社によってサポートされていると感じるように対応する必要がある。

<あなたができること>

l  ERGの関与を通じたウェルビーイングの観察とサポート:従業員が個人的損失や日常生活の大きな変化を経験するとき、ERGは、従業員が現実的に繋がるための重要なメカニズムとしての機能を果たし、パンデミックおよびそれに続く孤立に対処することができる。企業は、ERGがメンバーベースで定期的に実質上のチェックインを行い、ウェルビーイングを評価し、共有されたコーピングスキルに接続し、ニーズと考慮事項を特定することを奨励する必要がある。

以上