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性的マイノリティの基礎知識

2015.8.17

性的マイノリティとは

性について考えるとき、単純に「男性/女性」だけではなく、様々な切り口があります。

様々な切り口の中で、自分の性別についてどう考えるのかを「性自認」、好きになる相手の性別については「性的指向」と呼びます。

性自認

自分自身はどんな性だと思うか、ということ。男性だと思う人、女性だと思う人、中性だと思う人、性別は決めたくないという人、など、様々なあり方があります。

性的指向

どんな性の人を好きになるか、ということ。異性を好きになる人、同性を好きになる人、どちらの性も好きになる人、性別で好きになる人を決めたくないという人、特定の誰かを好きにならないという人、など、様々なあり方があります。

性的マイノリティは、テレビの中の話ではありません

性的マイノリティは、どんな社会でも人口の数パーセントはいると言われています。2012年の電通総研による調査では5.2%という数値でした。

日本では、200万人から500万人が性的マイノリティです。

これは、30人のクラスや職場に、一人はいる、という確率です。

こんなに身近な問題であるにも関わらず、性的マイノリティの話は、「テレビの中の話」「海外の話」であり、自分とは遠い話だと考える人がまだまだたくさんいます。

日本では、性的マイノリティに関して、学ぶ機会がありません。教育のカリキュラムに入っていないのです。そのため、人づてに聞いた偏見や思い込みが流布しています。

このような社会の中で、性的マイノリティであることを自分自身が認めること、友人や家族等の他者に伝えること(カミングアウト)は、大きな困難を伴います。

性的マイノリティは、あなたの近くにいない、のではないのです。本当はすぐ側にいるのに、そのことを言えないでいるのです。

性的マイノリティの抱える問題

性的マイノリティといっても、決してひとくくりにはできません。本当に様々な「人生」があり、その問題やニーズも様々です。

その中で、私たちが問題だと認識していることは、例えば、以下のようなことです。

子どもや若い世代の自殺の問題

性的マイノリティのワカモノの自殺率は、そうでない人の数倍になると言われています。

性的マイノリティであることを自分で気が付くのは、中学生から高校生が多いという調査結果があります。学校では、例え性的マイノリティでなくても、男らしくない、女らしくないなど、少し他の人と違うだけでイジメの対象になってしまうことがあります。自分が「そう」かもしれない、と思ったワカモノたちは、友だちにも、家族にも、先生にも、言えない/言っていいのかどうか分からない、という思いを抱えて、孤立している状態です。

当事者のメンタルヘルスの問題

日本社会の中で性的マイノリティであることは、様々なストレスの原因になります。

うつ、ストレス障害、依存症、人間関係の問題など、様々な社会の問題の背景に「性的マイノリティであること」という要素があります。しかし、多くの場合、それは隠されてしまいます。医師やカウンセラーにも、性的マイノリティであることは言えない、という人が多いのです。

特に「性的マイノリティであること」を家族や親しい人に明かして、拒絶等の否定的な反応を経験した時、当事者にとって大きな心の傷になり、それが他の問題に出会った時の精神的な「もろさ」に結びついている場合があります。当事者の周囲の人たちも、性的マイノリティに関する知識がないことが多く、周囲の人たちへの支援も必要です。

同性パートナーへの法的保障がない

日本では、パートナーが戸籍上異性である場合は、結婚や事実婚などの形態で、様々な保障があります。しかし、戸籍上同性の場合は、法的保障はまだ整備されていません。

パートナー関係を保障することは、いざという時の相続や保険金等の他、日常の様々な場面でも影響があります。一緒に住む住宅への入居、入院する際の治療への同意や面会…。パートナーが外国籍である場合には、日本で一緒に住み続けられるのかという問題にも向き合うことを迫られます。異性のパートナーの場合は、国際結婚をすることで、配偶者ビザが発給されますが、同性のパートナーは勤労ビザ等で滞在することになります。

私たちが何より問題だと考えていることは、沢山の問題があるにもかかわらず、ほとんどそれが語られていない、ということです。

性的マイノリティの問題は、テレビの中の話でも外国の話でもありません。誰もがどこかで関わりがある、家族の話、親戚の話、友人の話、同僚の話、なのです。

(Last Update:2015.9.10)

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