カナダ訪問のご報告(8月7日)

ERC、2日目、最終日です。まずは昨日の会議を受けてのセッション。フィンランド、インター・アメリカの方、世界銀行の方。

その後、分科会が二つ。私はSDGsがテーマの会と、データがテーマの会に参加。
SDGsに関する会では、LGBTIイシューがSDGsの各目標と密接に関連していること、各目標も相互に関連していることが確認されました。

データに関する会では、LGBTへの助成金に関するGPPのレポートが非常に面白かったです。
https://globalphilanthropyproject.org/2018/04/17/grr15-16/

世界的に政府の助成金の0.04%しか(!)LGBTIに使われていない。LGBTI全体のうち、G向けが12%、L向けが3%、Bに関しては1%以下、T向けの助成は11%。しかし何よりショックだったのは日本のデータがブランク(空白)だったこと(ワクワクして報告書のASIAのページを開いたら、JAPANの文字がなかった時の悲しさと言ったら)。報告者に聞いてみると、政府からアンケートに回答がなかったようです。少なくとも、厚労省は自殺対策やエイズ予防関係の予算、文科省は調査研究の予算、法務省は人権啓発の予算を持っていたはず。それが世界的な調査でカウントされていないのはとても残念です。日本はLGBTIに関してどの省庁がリードするのか決まっていないのもあり、アンケートの依頼が適切な部局に回らなかったのかもしれないです。

お昼にクロージング・セレモニー。ERCの40カ国目にキプロスが参加することが発表されました。ルクセンブルグ、ドイツ、タイ、スウェーデン、国連機関等から挨拶。世界人権宣言70周年ということもあり、多くの方が「All human beings are born free and equal in dignity and rights」という文言に触れていました。それはすなわち、LGBTIが世界中で「抑圧から自由で、尊厳と権利において平等」になっていないという話です。タイは外務省の方が登壇し、同性結婚を法制化する予定であること(既出ですが)等の取り組みが報告されていました。この感じでは、タイや台湾の方が、法整備では日本より先に進みそうです。(今回、タイは政府から3人、CSOから2人来ていて、がっちり参加していました。)

この会議で同意された新しいERCの宣言(後にホームページで発表されるそうです)に、壇上で代表者がサインするセレモニーの後、カナダでゲイであることをオープンにしている国会議員Randy Boissonnault氏が登壇し、カナダ政府が新たに世界のLGBTIに関する助成を行うことが発表され、華やかに閉幕しました。

ランチで、在バンクーバー日本国総領事館の方と情報交換。CSOからの要求に対して、政府による宣言の内容は抽象的だったのでは等と話していたら、案の定、午後のCSOの振り返りミーティングで不満続出。曰く、政府側のコミットメントに具体的な数字がまったく入っていない、我々の要求が宣言にどう反映されたのか不透明、難民のイシューが話し合われていない、ピンク・ウォッシュなんじゃないのか、物価が高い国で開催されると参加にお金がかかってキツい、すべての会議で言語の保証がされていない、そもそもお互いに昨日会ったばかりで全然ちゃんと話し合いできていない、などなど。

その場ではまったく収拾がつかず、今後もメール等で連絡を取り合おう、ERCでCSOの代表としてワーキング・グループにコミットできるグループは連絡してほしい、という話で解散となりました。今回のようなERCの世界会議は、また2年後に予定されているそうです。

ERCは国連に正式に位置付けられている機関等ではないのですが、世界人権宣言や国際人権法の精神に沿って、世界のLGBTIの権利擁護に関して、参加国の政府で共同して動こうという試み、と私は理解しました。国連機関やCSO(市民社会、市民団体)は、ステークホルダーとして関わる感じですが、今回の会議の状況を見ていると、どうステークホルダーの声を包括するかというところで、まだ試行錯誤の状況のようです。しかし、国連総会や人権理事会だと、LGBTIの人権に否定的な国もあり、なかなか協調して動きにくい中、とりあえずLGBTIの人権にポジティブな参加国を集めて、その力で世界の状況を前にすすめよう、というのは確かに大事な取り組みだと思います。抽象的な宣言でも何もないよりはるかにマシですし、自国の政府がLGBTIの権利擁護に国際的にコミットしてくれたら嬉しいだろうし、実際にカナダ政府のように資金の増額が約束されればCSOとしては本当にありがたい。SDGsがターゲットにしている2030年まで、残り12年。「Leaving No One Behind:誰一人取り残さない」を実現するために、引き続き、できることをやっていきたいと思います。

(村木)