カナダ訪問のご報告(8月6日)

ERC、2日目。ここからメインの会議。オープニングは、昨日集まったCSOの人たちに加え、各国の政府、外務省関係者が集まり、300~400人くらいの規模でした。バンクーバーのシェラトン・ホテルのホールと会議室が会場になります。先住民族(ファースト・ネイション)の前代表の方のスピーチと祝福から始まり(初の女性代表だったそうです)、今年40周年になるバンクーバーのプライド・パレード全部に参加したというレジェンドの方のスピーチ、ホスト国であるカナダとチリの外務大臣のスピーチと続きました。カナダのフリーランド外務大臣は、史上最も若い、女性の閣僚だそうで、めちゃパワフルでした。LGBTの権利は人権、女性の権利も人権、とスピーチして拍手喝采を浴びていました。

その後の基調講演は、政府関係者とCSO関係者が一緒に登壇。カナダ、アメリカ、マルタ、オランダ、ポルトガル、エストニア、ペルー、国連の独立調査官、世界銀行などからLGBTIの状況に関する報告がありました。本会議は、英語、仏語、スペイン語の3ヶ国語で発言があり、英語もいろんな訛りで、ついていくのがなかなか大変です。

このERCには、まだアジアからの参加国はありません。日本も正式な加盟国ではないのですが、カナダ政府から招待があったそうで、政府関係者として在バンクーバー日本国総領事館の首席領事の方が出席されていました(CSO関係者としては私だけだったようです)。アジアから参加している政府関係者は日本とタイだけだったので、ERC加盟への期待をひしひしと感じました。ちなみに、私は過去にいくつかのLGBTに関する国際会議に出ていますが、日本政府の関係者に会ったのはおそらく初めてで、密かに感激しました。

午後は分科会。分科会はメイン会場ではなく別の会議室で行われるため、事前に参加希望アンケートがあり、私はレズビアンとバイセクシュアル女性に関する会に参加。LGBTIの運動の中で女性がなかなか力を持てないという話、レズビアンに対する学校でのいじめの話、暴力被害にさらされがちな話。日本でもあるある、と思いながら聞いていましたが、アフリカのアクティビストから、一般女性とレズビアン女性の性暴力被害の差がデータで紹介され、それはかなりショッキングでした。ちょうど、虹色ダイバーシティと国際基督教大学の共同調査で、現在進行形でアンケート調査の分析をしていますが、前回まではLGBとTに区分したデータを主に紹介していましたが、LGBを、LB女性とGB男性で分けての分析もやった方が良さそう、と思いました。

​最後は各分科会の成果を持ち寄って、簡単な報告セッション。グアテマラ、ウガンダ、フランス、ケニア、国際NGOの方が登壇していました。登壇者の地域バランスが毎回かなり配慮されていると感じます。

夜はサイド・イベント、世界銀行の調査報告で締め。長い一日…。世界銀行は発展途上国への経済支援が主な業務になりますが、その一環として、LGBTIに関する調査研究もしています。LGBTIへの社会的な排除が、社会にとって多大な損失になるから、だそうです。

タイにおける調査結果はこちら。
http://www.worldbank.org/en/news/press-release/2018/03/26/toward-inclusion-of-lgbti-people-in-thailand-conclusions-from-a-new-world-bank-report

タイにおける職場の状況は、ほぼほぼ日本と同じ傾向でした。タイはトランス女性に優しい国のイメージありますが、データで見るとそんな事はなく、経済的にはLGBTの中で最も厳しい状況におかれていることが伺えます。(トランス女性とトランス男性が区別されていませんが、これは十分な母数が集まらなかったからのようです。)

この会は50人くらいの参加者で、質疑応答が大変盛り上がり、LGBTに関するデータが大好きな人が世界にこんなにいる、とちょっと嬉しい気持ちに。「Leaving No One Behind:誰一人取り残さない」がテーマのERCですが、そのために、誰がどの程度、どんな理由で取り残されているのかを特定する必要があると、データの重要性が繰り返し語られていました。本当に同感です。

(村木)