「OK」と言い合える社会に

文科省が全国へ通知

2015年4月30日、文部科学省がLGBT等の性的マイノリティ(以下LGBT)に関して、全国の教育委員会に通知を出しました。

教職員に対し、LGBTに関する心ない言動を慎み、一方的に否定しないよう求めるものです。日本ではまだLGBTに関する教育カリキュラムはありません。しかし、多くの子どもたちは、周囲の大人やテレビを見て学んでいます。「女の子みたいな男の子」や、「男の子みたいな女の子」は、笑ったり、からかったりしてもいいんだ、と。それを見て、クラスに一人か二人はいる、当事者の子どもたちも学びます。自分が当事者かもしれないということは、絶対に秘密にしなくちゃいけない、と。誰もそのままで「OK」だと言ってくれない状況では、理解してくれる人なんていないように思えます。多くの当事者は自分のこころと他者との間に、高い壁を築きます。

「見えない」社会課題のハイリスク層

LGBT当事者は、学校や職場や地域で、ほとんどカミングアウトできず、「見えない」マイノリティだと言われています。しかし、アンケート調査などから、様々な社会課題のハイリスク層であることが分かってきました。学校でいじめを経験している人は70%、職場で差別的言動を見聞きしている人も70%、うつや睡眠障害を経験している人は非当事者の数倍で、自殺を考えたことがある人はなんと6倍だそうです。学校や職場から人生の早期にドロップアウトしがちであることから、私は貧困ハイリスク層でもあると思っています。これは当事者だけでなく、社会全体の問題です。もう放置することはできません。

淀川区が全国初のLGBT支援宣言

2013年、大阪市淀川区が行政として初めて「淀川区LGBT支援宣言」を発表しました。2015年、東京都渋谷区が東アジアで初めて「同性パートナーシップ証明」を発行する条例を制定しました。これらは、当事者たちの切実な声に、行政担当者が真摯に向き合ってくれた成果だと思います。行政から、LGBTであっても安心して相談して「OK」だと言ってくれたからこそ、今、淀川区には多くの当事者の声が集まっています。昨年の電話相談の件数は1,000件を超えました。
企業も取り組みを始めています。2014年7月に男女雇用機会均等法のセクハラ指針が改正され、同性間のセクハラもセクハラであると明記されました。先進企業では、経営層が差別禁止を明言したり、社内規則を改正したり、トランスジェンダーの性別移行を支援したり、家族休暇や手当などの福利厚生を、配偶者だけでなく同性パートナーにも適用したりしています。企業からの「OK」のメッセージは当事者たちにも届いており、何らかのLGBT施策がある会社は勤続意欲が高い、というデータも出ています。

ALLYを増やそう

LGBTを理解し、支援する人を英語でALLY(アライ)と言います。ALLYになってもいいよ、という気持ちの人は、是非なんらかの形で「OK」のメッセージを掲げてください。それが当事者たちの心の壁を溶かし、乗り越えられるだけの高さにしてくれます。壁を乗り越えた当事者たちのカミングアウトは、私は社会への「OK」だと思います。そこに信頼できる人がいる、ここで一緒に生きていきたいという「あかし」です。

誰もが「OK」だと言い合える社会に

「OK」のメッセージが大切なのは、LGBTに限りません。何らかのマイノリティ性をもった人たち、誰にも言えない気持ちをもった人たち、社会と自分との間に壁を感じている人たち。誰もが「OK」だと言い合える社会をつくっていけたらと思います。